2017年12月5日火曜日

理解度の「中間」アンケート

このセメスターに担当している数学の授業も中盤に差し掛かったので、「投票」の機能を使って、ここまでの内容の理解度を自己査定するアンケートを実施してみました。その結果、「だいたい理解している」が「理解していない部分のほうが多い」を若干ながら上回る状況でした。(正直に)「ほとんど理解できていない」と答える受講生も1名いました。

もうちょっと「だいたい理解している」が多いだろうと予想していたのですが・・・

授業の前提となるところが身に付いていない学生が少なからず居ることは、大福帳への書き込みからも想像できるのですが、復習ばかりやっているわけにもいきませんし、悩ましいところです。

2017年11月25日土曜日

コメントを複数人で記入する際の動作(備忘録)

コメントの記入を共同作業する際に、作業がバッティングしないよう、WebSocketを使って、記入画面の内容を(だいたい)同期するように改修しました。以下、その備忘録。

2017年10月25日水曜日

大福帳のちょうどよさ

大福帳.js は、昨年の夏休みの終わり頃、10月からの授業に間に合わせようと、やっつけ仕事的に作ったものです。早いもので、あれから1年以上が経ったことになります。

ソフトウェアとしての大福帳.js は、別段、技術的に優れたところもありませんが、「大福帳」という仕掛けそのものは、日本の大学の学部授業で使うのに実に「ちょうどよく」できているなぁ、と強く感じるようになってきました。

以前に、アメリカの大学で半年ほど過ごしたとき、学部生達が教員の部屋の前の廊下に列を成して「オフィスアワー待ち」をしている様子を目にし、学生が熱心なのは良いことだろうけれど、ああやって、一人ひとりに対応するのは大変だなぁ、と思ったものです。

ただ、同僚(物理が専門)が言うには、「ここの学生たちは、速度と距離と時間の関係すらちゃんとわかっていないんだ・・」とこぼしていたので、学生の熱心さは必ずしも学力とは比例していないようでした。

それに較べて、現在勤めているこちらの大学の学生はあまり質問に来ないので、楽といえば楽ですが、張り合いもありません。オフィスアワーを設けても学生がほとんどやって来ないのなら、代わりに、その時間を使って大福帳にコメント記入したとしても、過剰な負担増ということにはならないかもしれません。


2017年10月5日木曜日

学生による授業評価の結果

前年度にはじめて大福帳.jsを使って行った数学の授業の学生による評価結果が送られてきました。封筒を開けるとき、ちょっとだけ緊張しました。同じ科目を一昨年度も担当していたので、それと比較したのが以下の表です。

質問事項評価の平均
(2015年度)
評価の平均
(2016年度)
内容は整理されていたか4.44.5
十分な説明を心がけていたか4.44.8
わかり易く論理的に説明したか4.34.5
重要項目を明示したか4.54.5
進度は適切だったか4.34.3
教員の熱意を感じたか4.34.6
シラバスを基本にしていたか4.14.4

「教員の熱意」が上がったのは「大福帳効果」として何となく納得できますが、授業の内容や使った教材は全く同じだったので、いちばんポイントが改善されたのが「十分な説明」だったのは、少し意外でした。

2017年10月2日月曜日

見えない文字

ログをみていると、サインアップに何度も失敗している事例を発見したので、調べてみたところ、メールアドレスの一部にUnicodeの「見えない文字」が紛れているらしいことを発見しました。

具体的には、
U+202A Left-to-right embedding (LRE)
です。

スマホで入力するうちに、自動的に挿入されるのかもしれません。

全角文字対策はすでに施してあったのですが、こちらは盲点でした。この種のプリントされない文字は全て削除してから処理するように、コードを修正しておきました。

2017年9月25日月曜日

メールの大量送信

サインアップやパスワードのリセットの際に必要なメール送信にこれまでGmailを使ってきたのですが、1日あたりの送信数が500通に制限されていることと、連続的に送信しようとすると拒否されるので、大福帳.js のサーバーにPostfixをインストールし、(ほぼ)送信専用で動かすことにしました。

気がかりなのは、一斉にサインアップした際の負荷もさることながら、送った通知が迷惑メールとして処理されてしまうのではないか、という点です。DNSにSPFレコードは追加してもらったのですが、他にも対策が必要かもしれません。

2017年9月10日日曜日

大福帳の不便益

数年前に、ある研究会に招いていただいて、私がやっている(教育とは全く関係のない)研究を紹介させていただきました。そこで、「不便益」について研究されている川上先生と出会いました。

いまの世の中、効率化や最適化が「善」と見なされ駆動されているわけで、教育とて例外ではありません。eラーニングもそういう文脈で語られることが多いように思います。

それに反して、大福帳というのは、あれこれ手間がかかります。はっきり言って「不便」です。明らかにやる気の無さそうな受講生にも、「なるほど。でも、学んでみようよ」、と、声をかけ続けたりするわけです。

大福帳とは、こうした不便を教員に強いるための装置なのかもしれません。そして、そうした面倒を通じて得られる不便益が、とても大切だったりするのではないかと。

2017年9月4日月曜日

教員からのひとこと

大福帳.js では、受講生の大福帳の右上に教員のプロフィール画像が(もし登録されていれば)表示されるようになっていて、そこをクリックすると、吹き出しで『ひとこと』が現れます。この機能について授業では全く触れなかったにもかかわらず、それを見た受講生から、「授業の度に『ひとこと』の内容を変えると良いのでは」、と提案がありました。

そこで、毎週、気候や私自身の気分などについて、『ひとこと』の中身を変えるようにしてみたところ、大福帳でそれに反応する受講生がじわじわと増えてきました。何でもそうかもしれませんが、小さな「変化」でも、関心を繋ぎとめておく上で重要なのだな、と、実感しました。


2017年8月24日木曜日

大福帳への書込みの量

これまで2つの授業で大福帳.jsを使ってみたところ、熱心に書き込んでくれる受講生は、成績の方も概ね良好のようでした。一方、書込みの回数や記述量が少ない者の中にも成績上位者が居たりします。試みに、大福帳への1回あたりの書込み量(文字数)と期末試験の成績を散布図にしてみたところ、両者にあまり相関は認められませんでした(相関係数は0.2 程度)。

ただ、1回の書込み文字数が60〜80文字を超えるグループの中には、目立って点数の低い者は無かったことから、書込みの量は「要観察」者を見つけるためのひとつの材料にできるかもしれません。そこで、受講者の一覧の中に「平均文字数」も表示するよう、改修してみました。

なお、受講者の書込み量は平均すると60文字程度でしたが、Twitterのツィート(日本語・本文のみ)の平均が33文字程度らしいので、日常的なテキスティングよりは沢山の内容を書き込んでくれているようです。

2017年7月20日木曜日

「難しい」派

今期担当している「情報基礎」(130名ほど)という科目で、授業についてのキーワードと、質問や感想を大福帳に書いてもらっているのですが、ぽつりとキーワードだけ、や、感想が添えてあっても「難しい」の一言だけ、という書き込みを毎回繰り返している受講生がぽつりぽつりと居ることに気づきます。

動画等の教材へのアクセス記録を見ると、そういった中には、実質的に「授業に不参加」を決め込んでいる者も少なからず居る様子です。そうした受講者の大福帳への書き込みのパターンが何となくわかってきたので、次年度は、比較的早期に発見して、何か手を打つことができると良いのですが(といっても、特に妙案は無いのですが)・・・

多数の書き込みを「パターン認識」しながらコメントを返していると、だんだんと、自分が「人間AIロボット」みたいになっているような気がします。

2017年7月11日火曜日

「半転」式授業

1年生向けの「情報基礎」という科目で、コンピュテーショナル・シンキングの涵養を目的として、プログラミング演習を交えた授業を行っているのですが、大福帳.js の書込みをみると「難しい」、「よくわからない」とった単語がぽつりぽつりあって、ついて来こられない(あるいはついて来ようとしない)受講生も居るようです。

授業のフレームワークの完全に外側に居る人たちまでケアするのは難しいとしても、熱心に取り組んでどんどん先に行く学生と、そうでない学生とのギャップが広がるのはよろしくないので、毎回、予習用の動画教材を用意して、特に、「難しい」といった内容を書込みに対しては、動画を観てから授業に臨むようにコメントしています。

授業中、全員に予習動画を視聴するように言っているのですが、アクセス記録をみると、実際に視聴しているのは3〜4割程度といったところです。ただ、「動画を観て授業に出たら、ついて来ることができた」といった内容の書込みもあるので、「後続集団」の役には立っているようです。

私には大人数クラス(130名ほど)で反転授業を実施するスキル(とそれを準備する覚悟)はありませんが、「半転」くらいだったら、何とか運用できそうです。

2017年6月22日木曜日

コメントの記入をTAと分担して作業する

大福帳.jsでは、教員だけでなく、あらかじめ登録しておいたメンバー(TA)が、受講生へにコメントを返すことができるようになっています。教員は、TAのメールアドレスをコースの設定画面で登録し、コメント書き込み用のURLをTAに連絡します。TAはそこにアクセスして記入できます。

今期、130名ほどのクラスで、実際にTAにもコメント記入を手伝ってもらっています*。

それによって記入の手間を幾分なりとも減らすことができますが、それよりむしろ、受講生の状況をTAと共有できる効果のほうが重要かもしれません。

受講生の書き込みがずらりと並んだ、うなぎの寝床的なページに、数人で書き込むことになるので、書き込みが衝突するといけません。現状の大福帳.jsでは、その辺りはとても緩く扱っていて、きちんとした排他制御は行わず、「後から書き込んだデータで上書き」しています。ただ、それだけでは、同じコメント欄に2人以上が同時に書き込もうとすると、おかしなことになりますので、コメント欄をクリック(フォーカス)した時点で最新の状態に内容を更新し、その書き込みが他のTAの入力によるものだった場合は、それと解るようにサインが出るようにしています。このくらいでも、実用上は問題は無さそうです。

2017年6月15日木曜日

メールを使ったユーザー確認

130人くらいの規模のクラスで大福帳.jsを使い始めたところ、サーバーが落ちてしまうトラブルに遭遇しました。調べてみると、メール送信に使っているGmailから

Invalid login: 454 4.7.0 Too many login attempts, please try again later. xxxxxxxx.29 - gsmtp

というエラーが返されたようで、大福帳.js 側ではメール送信エラーの際に、例外をスローするようにプログラムしていたためでした。

数百人が同時にサインアップすると、一気に大量のメールが送信されるので、操作のタイミングがばらけるような工夫が必要かもしれません。

当面、ユーザー確認が完了した旨のメールによる通知は止めることにします。

2017年5月8日月曜日

「中間アンケート」的な使い方

私が務めている大学で授業の最後に一度だけ実施される「学生による授業評価」は、大学による評価・改善の取り組みのための重要な情報源となっているわけですが、教員個人にしてみれば、もう終わってしまった授業については改善のしようがないわけで、それでは次年度の授業改善に役立つかといえば、(少なくとも私の場合)その頃にはアンケートのことなど忘れてしまっていたりして、それに必要な労力や費用を考えると、何とも「もったいない」気がしていました。

アンケートに記入する学生にとっても、もう終わってしまった授業について、建設的な回答しようという動機はあまり湧かないでしょう。

コースの中盤あたりでアンケートを実施*すれば、軌道修正のよい材料になるはずですが、そんな用途に、(大福帳.jsに限らず)すぐに結果を確認できるオンラインツールは有用かな、と思います。

2017年4月13日木曜日

研究室での活動に大福帳.jsを使う

知り合いの大学の先生にこの大福帳.jsを紹介したところ、『春休み期間中、研究室の学生達との連絡に使ってみようかな』、とおっしゃっていただきました。

これまで中〜大人数授業を念頭に、このサービスを企画していたのですが、その先生の発言は目からウロコでした。学生の研究活動の進捗状況を、例えば毎週、大福帳に書いてもらって、先生がそれにコメントする、といった、簡易研究ポートフォリオ、とでもいった使い方も可能だな、と。

特に、長い休みの期間中など、直接それぞれと面談することが難しい状況で、こうしたオンラインツールは有用かもしれません。

今度その先生に合う機会があったら、どんな具合だったのか、尋ねてみることにします。

2017年1月21日土曜日

大福帳.js を1セメスター使ってみて

今期の「応用数学」(工学部2年生対象、60名ほど)も最終回を迎えました。最後に、大学側が実施する「学生による授業評価アンケート」を配布し、加えて、いつものように大福帳.jsにも(特にお題は設けず)記入してもらいました。

その中には『大福帳.jsはモチベーションの維持に大幅な効果があったと感じているので他の授業でも導入していただきたい・・』という書き込みがあり、プラスの効果はあったのかな、と思っています。

期間を通じて、いちばんよく目についたのは、『(・・・について)しっかり復習したいと思う』という主旨の書き込みでした。その言葉が、行動に繋がっているかどうかは不明ですが、学習のポイントの意識づけにはなっているのかもしれません。

アクセス記録を見ると、授業時間以外に大福帳.jsにアクセスする受講生はそれほど多いわけでもなく、熱心に取り組んでいる少数派(「リピーター」)と、授業時間以外はこの科目のことは気にしていない多数派、に分かれている感があります。

大福帳に何を記入してもらうか、あれこれ試行した結果、落ち着いたのは、授業の中盤に簡単な演習を行い、その解答(数式)の一部を空欄にして示した上で、『今日の大福帳には、この空欄部分を記入してください』というパターンです。そして授業の最後に再び、『問題の解答と、この授業についてあなたが選ぶキーワードを2つ以上、大福帳に記入してください』という指示を出すようにしました。

この授業については、毎回全員の書き込みに回答することにそれほど大きな負担感はありませんでしたが*、沢山の授業を持っていたり、クラスの人数が100〜200名を越えたりすると、一人で大福帳を運用するのはなかなか大変だろうな、と(今更ながら)感じました。